研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2015年2月8日日曜日

コーナリングの癖が欠点ともいえるNC700Xだが、今ではマイバイクにしている。その理由と、よりよい物とする改良①


コーナリングの強い癖は750になってほとんど解消しているが、700については前後タイヤを750と同じものに変更するまで、依然としてこの癖は残る。しかし、その状態を乗りこなすと、かなり楽しく、また、利点となり、スピーディであることがなんとなくわかってきた。ただし、走行状態のよっては疲労がたまるけれど。

では、何故このような癖の強いバイクを選んだのかというと、それは、270度クランクの2気筒で、更に左右シリンダーのバルブタイミングまで変更。それによる燃焼のアンバランス、回転のアンバランスによる心地よい鼓動、振動が好きで、100キロからの加速でもアンバランスな(もちろん気持ちの良い状態)鼓動から、グスグスという振動を尻から腰、背中にまで伝達する。これがたまらないからである。

乗るたびに新しい発見があることも、私にとってはNC700Xの魅力かもしれない。

もちろんそれだけではなく、普通のバイクなら燃料タンクとなる部分はフルフェイス・ヘルメットが入るほどのボックスとなっていること。

ここにツーリング用品を押し込んで出かければ“ツーリングです”状態を他人に悟られること無く、スマートに走りを楽しめる。更に燃費のよさもある。なんと、これまでの最高は38km/Lで、それまで乗っていた、燃焼改善しているXLR250Rよりも良いのである。

そして、このNC700Xを不満状態(コーナリングの強い癖意外)で乗ることは、許しがたく、安全・快適に乗るため少々の改良に着手した。

一番の癖である切れ込むコーナリングは、半尻落しのレーシングスタイルを取らなければいけない。そうなると直線では問題の無いフットレストが、表面にゴムを貼っていることで(正確には空間がありクッション性を持つ)、必要な踏ん張りが不安定になるのだ。こんなに癖の強いコーナリングでなければ、ゴムで中空のフットレストは、ツーリングバイクとしての感触は受け入れられるのだが。

この切れ込む癖からコーナリングを、自分のものとするには、しっかりとしたフットレスト形状が求められる。

つまり、半尻落しのライディングスタイルは、コーナリング中、外側のフットレストを抱え込むように踏みつけるため、ライディングブーツとフットレストは、確実に一体となった状態が要求される。

でも、最近のホンダ・スポーツバイクは、同じフットレスト形状で、中空ゴムを貼り付けたもの。つまり、グニャグニャなのである。

これでは信頼してフットレストを踏みつけることは出来ない。常に「裏切りに・・・」が頭から離れない。なお、タイヤ変更でこの問題点が解決されたNC750は1000キロ以上のツーリング走行で、気になる不安な状態は体験しなかったので、フットレストの変更はする必要がない。

この問題を解決するには、ゴムの貼っていないものと交換する以外には無い

調べてみると、幸い、この手のフットレストは、どれでも使えそうな感じであることがわかった。

ガレージの部品箱の中にそれらしきものを発見したのだが、右側しかない。同じ車種(CBR400R・NC23用)の左側を注文するためホンダ・バイクショップに出かけ、ネットで在庫を調べてもらったが、品切れ状態。

仕方がないので、オークションサイトから取り付け可能な、アルミ一体型のフットレストを購入。短い長さのためアルミの角棒をアルゴン溶接し、表面にギザギザ形状をヤスリで作り使用していた。

見た目は全体的に細いので多少頼りないが、安心性と実用性は大きく向上し、踏ん張るブーツはしっかりと安定した状態を作り出してくれている。

ほぼ満足状態でいたが、年明けのスワップミートでホンダ車の、アルミ一体フットレストを発見。1000円で購入し、調べて見るとCBR250R(MC17)用で、組み合わせ部分の形状(リターンスプリングを入れるところ。その後、耐久性に問題が出たのだろう、今の形状に変更された)が違うけれど、取り付けてみると、バランスが良い。

これがホンダ純正、CBR250R用で、リターンスプリングを掛ける位置と形は違うが、取り付けは可能だった。これで安心感が増した
上が標準のフットレスト。ゴムは中空でしっかり感はない。下は、オークションサイトから購入し、短いので溶接で長くしてからヤスリで加工したもの。使用感はいいが、見た目は少し頼りない
 
これでフットレストについては解決。でも、何故コストのかかるフットレストを取り付けているのだろうか。アルミに中空ゴム(振動対策?)を貼り付ける構造は、意味がないはずだが。

フットレスト周りでは、直接関係ないが、もうひとつ改造を行った。それは、ブレーキペダルのブーツと接する部分。

実はこれも、左側へ大きくリーンさせているとき、コーナーラインや速度調整で、僅かに使用するリヤブレーキの、ペダルにつま先を掛けているときに生ずる不安感を解消したいからである。

ライディングスタイルから、どうしてもブーツは前開きの状態でフットレストに乗る。同時にブレーキペダルに対しても、ペダルの先端(右の端)に引っかかる程度の位置を好む。

そうなると、ブレーキペダルは足の動きを確実に、そして常に受け入れるような接触状態が望まれる。そのときには、フットレストを踏み変えて、ブレーキペダルに対してベストな位置に移動すればいいのではないこと思われるが、踏ん張っているフットレストから足を上げたとたん、バランスを崩して事故?は十分考えられる。

なのでやりたくない。右足ブーツが踏みつける(自然に載っている)ブレーキペダルからスリップして外れないよう願うだけ。

これを解消するには、ブレーキペダルの先端に小さな出っ張りを作れば良いと判断

ピカピカ光って、つるつるのブレーキペダルを使用しているホンダバイク。見た目にはいいが、機能としてはどうなのか疑問が残る。

最初は溶接で小さな出っ張りをひとつ作ろうか、と考えたが、不都合なことになったら取り外すことを考えると、小さなビスをねじ込む方が良い、との結論となり、3mmのビスを取り付けた。ドライバーを当てるところは、丸ネジなので、ブーツが強く引っかかるようなことはないと判断した。

まだ、強くリーンさせなければならないコーナリングを体験していないので、良否はハッキリしないが、普通のコーナーで不都合は感じていない。不都合になったら現場で取り外せばいいのだから、そのあたりは使い勝手が良い。
ブレーキペダルの先端に滑り止めとして3mmのビスを取り付けた。これでの効果はまだ確認できていない
 

 

2015年1月28日水曜日

不定期連載 数式を使わない、クルマの走行安定性の話・8/17


一瞬のトー変化はクルマの挙動を乱さない

最近(といってもだいぶ前だが)でも同様のシステムを採用するクルマがある。それは、ジャガーXJ8などに見られるもので、一見するとリヤのロワアームは幅10cmほどのIアーム一本だけである。アームはデフの下の部分に取り付けられ、デフ側はもちろんブッシュによる取り付けで、サスペンションのスイングピボットになる。そしてデフはサスペンションメンバーに大きめのゴムブッシュを介して取り付けられている。

この構造であると一般的には、ハブがアームと一体で造られ、スイングアクスルのストラット構造でないと成立しない。つまり、がっちり結合されたものでないと、タイヤが倒れ込んでしまうが、ここもゴムブッシュによる取り付けで、ピボットになっている。しかしそれを押さえるストラットのようなものもない。さらに素晴らしいのは、ロワのIアームが10cmほどの幅しかないのに、そこには1953年のメルセデスベンツ300のようにトルクロッドがないのである。

アッパーアームはどこにあるのだろうか。このデザインでは絶対にアッパーアームがなければサスペンションとして作動しない。しかし、よくそのサスペンションを見ると、ドライブシャフトのジョイントは等速ジョイントではなく、プロペラシャフトなどに使われるクロスジョイント(ユニバーサルジョイント)である。このジョイントは軸方向にスライドしないから、前後をしっかりと固定すれば、サスペンションのアームとして使えることが分かった。

そう、ドライブシャフトがアッパーアームの代わりをしているのだ。すごい設計である。日本人にはとても発想できないスタイルだろう。もちろんスポーツカーで、サスペンションストロークが少ないから、これを可能にしているが、タイヤの幅(確か245255)に関係する走行上の問題点を、これでカバーできればそれでいいのである。

トルクロッドのないこのようなサスペンションでは、走行中のタイヤに加わる力で、タイヤは前後に大きく動き、クルマの中心に対するトーの変化は非常に大きい。にもかかわらずクルマの挙動安定性には問題が生じない。もちろん、このトー変化は一瞬のことであり、瞬間的に元の正しい位置にタイヤは戻ることになる。ということは、一瞬のトー変化はクルマの挙動安定性に問題を与えないと言うことである。

特にデフを中心にした左右のトータルトーにおける、一瞬の変化は問題にならないようで、日本車にも同じような動きになるサスペンションを持つクルマがある。それは、三菱のデリカ・スターワゴンである。もちろんリヤサスペンションでの話だ。

リーフリジッドのサスペンションなのだが、スプリングの前側取り付けに使われるブッシュは前後方向に大きく、楕円の形をしている。そして、そこにはNVH性能を向上させる目的で造られた、大きなスグリがある。しかし、このスグリがNVHだけではなく、クルマの走行安定性にも大きな影響を与えていたのだ。

リーフスプリングの前側取り付けブッシュにスグリがあるということは、走行中にクルマの中心から見た瞬間的なトーの変化が起きる、ということである。ただし、クルマの中心から見た場合ではトーの変化が起きているのに対し、左右合わせたトータルトーで見ると、変化していないのである。左右がつながったりジッドサスペンションなのだから当然のことではある。

2015年1月24日土曜日

白バイの役目は取り締まり、それとも事故防止。事故防止が重要だと思うが


1月始めだったと思うが、九州方面の女性白バイ隊員の活躍(???)を取材したものが流れていた。

確かに彼女のライディングテクニックはすごい。ウエットな状態であるのにもかかわらず、1300ccフル装備した白バイを、鋭い感性をフルに使い、リヤが滑り出すことを計算しながら、パイロン走行を転倒せずこなしてしまう。

運転訓練では、転倒という恐怖感を克服するため、恐怖・転倒ということに意識がいかないよう、数え切れないほどの転倒を経験させ、いわば自己洗脳するまで徹底的に乗り、転倒という文字を頭から消し去るような状態にするのだから、自分中心での走るテクニックはすごくなる。

ここまでは良かったのだが・・・

彼女の取り締まり取材が行われた。スピード違反車両や携帯電話使用を見つけ、追尾して違反切符を切ることは、事故を未然に防ぐ行為なので、認めるとしても、問題は、事故が多い場所での取り締まり方法。

事故の多いT字路で一時停止、安全確認をしない違反車両を隠れて張る。

もちろん違反車両は取り締まれるのだが、事故を起こす前の、安全を確認させる状況にはならない。

隠れていることで、違反車両(とは限らないが)による事故の起きる可能性は高い。事故は少しも減らない。

事故が起きてから、逃亡車両を検挙できるだろうが、それは事故防止ではない。

白バイが、見える状況で周辺に停車していれば、当然違反車両はなくなる(事故も、違反車両についても絶対ゼロではないが)。

もし、隠れて取り締まっている最中に、白バイ隊員(テレビの取材であると女性)の親族、それも自身の家族や子供が、優先道路通行中でも、その事故に巻き込まれたら(場合によっては死亡事故)、それでいいのか?

白バイが(パトカーでも同様)、その道路近くで、見えるように止まっていたら、このような事故は、起きる可能性は少ない。

でも、隠れて取締りを行っていたとき、事故が起きてしまった場合に、その白バイ隊員は「自分の行動は間違っていなかったのだろうか、いや、事故なのだからしょうがない」とあきらめられるのだろうか。自己嫌悪に陥らないのか。

元交機隊の友人は、当時の白バイ乗務で、「事故を未然に防ぐには、自分達がどのような立場で、どのような行動をとればいいのか、いつも気にしていた。事故の多い場所で、違反車両を隠れて取り締まるのは、事故を防げないのでやらない」と話していたが。

2015年1月12日月曜日

国土交通省と警察に物申す


クルマやバイクの前方に取り付けるライトの色についてであるが、赤以外で300カンデラ(これがなかなか難しい。夜間なら見える社幅灯の明るさであるという)までなら認めるというのだが、どうもこの決まりがいい加減というか、見てみない振りというか、既得権?(法律でこれはまずいはず)で、堂々とまかり通っている状況が街のそこかしこに走り回っている。

ライトの明るさに関係なく、赤はダメ、といっているのに、赤が前方からハッキリと見える普通のクルマがあるではないか。

それは、タクシーの「空車」という表示。

これ、どう見たって赤でしょ。なにに何のオトガメもなし。

続々と駅に戻るタクシー。フロントウインドウの中にある空車の表示は、全て赤である。これいいの?
昨年だったと思うのでが、関西方面のカー用品店に、その筋の役人が乗り込み、店頭に並ぶドライブレコーダーにイチャモンを付けた。「ドライブレコーダーが作動中に点灯する赤色LEDが前方に向いて取り付けてあるものは、撤去せよ」というような内容だったらしい。

ウッ、確かに赤色を前方に向けて点灯させてはいけない法律があるので、その筋の役人が指導したことに文句は無いが、その赤色LEDは僅かに見える程度(カメラが作動中ですよ的な)で、停車中で夜間でも注目しなければわからないもの。

それに引き換え、タクシーの「空車」文字は、遠くからでもハッキリと見える状態。

赤色は、明るさに関係なく点灯すると違反のはずなのに、何故これが見逃されているのか、理解に苦しむ。昔は色が違っていたように思うのだが。それとも特別に、利用者のことを考えて、遠くからでもよくわかるように、タクシーの「空車」表示は、赤でOKとなったのか?

2014年12月28日日曜日

不定期連載 数式を使わない、クルマの走行安定性の話・7/17


トルクロッドもなくサスペンションアームも持たない独立懸架

サスペンションは、コーナリングの性能を上げるための全体設計ではなく、ニュートラルな走行時におけるサスペンションのあり方を最重点項目として考えるべきである、と考える。コーナリングにおける横力は、直進時におけるクルマの不安定要素をいとも簡単に越えてしまうわけで、コーナリングが素晴らしいクルマが直進安定性がいいと言うことはない。逆に、直進安定性のいいクルマは、コーナリング性能も素晴らしいというのが事実でもある。

ステアリングを切ったときの、クルマに発生する横力の計算は簡単に求められるのだが、直進時における外乱に対しては、いくらスーパーコンピューターを使えども分析できる状況にはならない。

コーナリングの特性から言うと、日本車は、タイヤのコーナリングパワーで曲がるのに対し、西独車はコーナリングパワー+キャンバースラストをバランスよく使っている。そのためレーンチェンジや高速コーナリングでもロールが少ない。特にフロントの沈み込みは少なく、タイヤからのスキール音はでにくい。

ル・マン24時間耐久レースでのことだが、89年に見たマーシャルカーはメルセデス560SELのノーマルカーである。これにオフィシャルが4人乗ってあのグループCカーを引っ張るのだ。これがただのクルマであったのなら、スピードが遅いことにドライバー達からクレームがでる。しかし、メルセデスは違っていた。ストレートでのスピードはもとより、コーナリングもバランスを崩すことなくレーシングカーを引っ張ったのである。翌年登場した日本車のマーシャルカーは、もちろんバリバリの3リッター・ターボ付きレーシングカーであった。

タイヤは幅が広くなればなるほど、路面の凸凹を受けながら、グラグラしながらも目的の場所に向かって転がっていく。このときに発生するグラグラ力はかなり強いものがあり、これをどのように処理するかが一つのポイントでもある。

リヤサスペンションにおいては次のような事例も見られる。まず一つ目は1953年式のメルセデスベンツ300に見られる。 デフをボディ(このときにはシャシーを採用していた)に取り付けて、その両側にスイングアクスルとするタイプである。スイングアクスルとなれば、当然タイヤにかかる前後方向の力を処理するために、ラジアスロッドやトルクロッドの取り付けがあるのが自然なのだが、このベンツ300は当然とも言える、ロッドの取り付けを行なわなかった。次回にはもうひとつの例を記載します。

1953年式のベンツ300。前オーナー曰く「当時は、外車に決まった価格は無く、オークションだったので、輸入の数が少なかったベンツ300は、ロールスロイスより高かったのだぞ」と。我々のところに来たベンツ300はなんと左ハンドルで、コラムシフトのマニュアルミッション(当時はろくなATはなかったので)。ステアリングにはアシストなど付いていない
 
 
つまり、ラバーマウントされたデフを中心にして、タイヤは前後に、自由に動くことになる。これがいったい何を意味するものなのか。NVHだけではないように思う。

フロントは上下アームが非常に短いWウイッシュボーンで、形や寸法からして、どう考えても素晴らしいサスペンション回りとは思えない。

12年ほどたった中古のベンツであったが、その時の走りときたら素晴らしいものであったことを覚えている。とにかく、ステアリングの遊びが多いにも関わらず、どのような路面状態であっても、ハンドルを取られることがないばかりか、左右に振られたり、向きが変わることもない。この状態が100km/h以上まで続いたのである。120km/hまでは出したが、それ以上は出せる道路がなかったので、確認できなかった。

知り合いから譲り受けたベンツ300だったが、当然整備が必要な状態であったため、下回りは分解して交換するのだが、デフのピニオンギヤベアリングはテーパーではなくローラーが使われていた。そのベアリングだが、DIN規格であるのは当然のこと。日本製でも呼び名こそ違っても同じサイズのものがあるので、それを使う。大学時代の機械製図の先生は、JIS規格作った方で、「面倒だから、時間もないし、DINの寸法をまねた」と教えてくれていたため、躊躇無くベアリングは日本製を選んだのだ。

これはそのベンツ300のボンネット先端に取り付けられていたボンネットマスコット。ラジエターキャップと勘違いしていた方もいるようだが、そうではなく、これを取り外すとその中にラジエターキャップがあったと思う。破損したためか、オリジナルとは違っている
これが当時のベンツ300に使われていたヒーターファン。エンジンルーム内に、左右ひとつずつ取り付けられていた。それ程強力ではなかったように記憶する 
 

2014年12月21日日曜日

バイクの駆動系にトーショナルダンパーの硬さアジャストを付ける


クルマでは、トーショナルダンパーのことを、駆動系の捻り振動や曲げ振動低減のために使用されるダイナミックダンパーである、と説明しているが、バイクの場合ではリヤスプロケットばかりではなく、クランクからの1次減速ギヤ(クラッチなどがある部分)の部分に組み込まれることも多い。ただ、クルマのようにダイナミックダンパーとしての目的は無い様に思うのだが。捻り振動はバイクでも目的に入るだろうが、ややこしい話は別として・・・本題に入る。

ダンパーラバーはスプロケットが取り付けられるリヤドリブン・フランジとホイールハブの間に挟みこまれ、加速・減速でのショックを和らげる役目なのだが、経年劣化するとその感触が悪さを発揮する
 
バイクのリヤスプロケット取り付け部分には、ギヤの変速ショックやアクセルの開閉で起きるギクシャク感を低減する目的で、ゴムの挟まれている場合があり、それが災いというか、感触の悪い方向へ劣化する体験をしているのである。

全てのメーカーが、このダンパーゴムを採用しているわけではなく、ホンダ車に多い。

例えば、同じオフロード車であっても、ヤマハTT250Rでは、リヤのハブに直接スプロケットが取り付けられているのが、同年代のホンダのXLR250Rでは、ストロークの大きなゴムダンパーを間に挟む感じで組み立てられる。

もちろん、このゴムダンパーは簡単に交換できるので、シフトショックやアクセル開閉の感触が悪くなったら、交換すればいいのだが、そのダンパーが絶対取り付けなければならないダンパーだとしたら、そのバイク造りは、少し疑問がわく。

ここのゴムが劣化(熱による加硫が進み硬化する。更に摺れて磨耗する)して、ダンパーのストロークが多くなってしまうと、僅かにアクセルを開けたとき(エンジンブレーキ状態の減速中から穏やかにやると)、一瞬遅れて動力(駆動力)が発生するかのように感じてしまう。

どのようになるかというと、エンジンの回転が空転した後となるので、ガツンという軽いショックを伴ってから駆動力が伝わる。実に愉快な感触なのである。

開発実験で、過酷な走行後を長距離、長時間、高温・低温にわたって行わないと、一般ユーザーが感じる経年劣化による不快感は出ないだろうから、それならそのような状態となった(絶対同じではないが)ダンパーゴムを作って、感触を確認すれば済むこと。

で、その確認が出来た後の処理が問題。ただ単純に「ダンパーゴムの耐久性を引き上げる。とか、交換すれば済むこと」とやったのでは、次に進む楽しいバイクは出来ない。

リヤスプロケット取り付け部分にゴムによる緩衝装置として、絶対に必要な状態であるなら、そのダンパーストロークを可変にする装置を組み込めば済むはず。

スプロケット取り付けボルトを利用して、ダンパーゴム側へ突き出している動力伝達部分をカム状にし(挟んだスチールプレートを膨らませるような形でも良い)、これを外部から回しゴムダンパーへ動力を伝える部分の厚さや圧力を可変にすれば、新車のときからライダーの好みに合った、駆動系の伝わり方が選べるはず。

新車の時には、まるでシャフトドライブでもあるような、アクセルの開閉に間髪を入れず反応していた、気持ちの良い感触のバイクが、1万キロ近くなると、「あのときの感激はどこへ」の寂しさも防げる。簡単に出来そうな感じなのだがな~

2014年12月8日月曜日

不定期連載 数式を使わない、クルマの走行安定性の話・6/17


バイクで大切なのはステアリングヘッド

バイクの話をしてみよう。クルマとはコーナリングにおけるスタイルが違い、リーンにおけるタイヤのキャンバースラストが、コーナーを曲がる力となる。では、直進時はどうかというと、これはクルマと同じことが要求される。フレーム剛性と、サスペンション剛性、そこにホイールとタイヤの剛性まで関係し、安定性を出す。

そして、その裏にはキャスター/トレール、タイヤの幅も考えた設計がなされるが、最近のレーサーレプリカのように、キャスター角が立っている設計は、短いホイールベースと合わせ、太いタイヤを使用して、コーナリング性能を上げても、ヒラヒラ感を求めた結果、自然の成り行きであのような設計になったもの。

タイヤが太くなれば、当然路面からの外乱は受けやすくなる。それをキャンセルするにはラジアルタイヤの採用であったり、トレール量の変更であったりしたわけだ。しかし、ここで大切なことはステアリングヘッドである。

バイクにおけるステアリングヘッドの役目は、コーナーを曲がるためばかりでなく、直進性と走行安定性を保つためでもある、と考えたらどうだろうか。このステアリングは感じないぐらいのストロークで、絶えずグラグラしながら、バイクのバランスを保ち続けている。

路面からの外乱は、直進時ばかりでなくコーナリング中にも受ける。つまりスムーズにステアリングヘッドが左右に動くことで、バイクのバランスは保たれることになるわけで、もしこのステアリングヘッドががっちり締め付けられていたとしたら、直進しながら横転するし、コーナリングするために、リーンしても旋回性能は発生せず、ハンドルをライダーが切る、という行為をしなければならない。

一度コーナリングを開始したらそのままの姿勢を保ち続けようとする力が強く、立て直すことは出来ずに転倒する。仮に直進に戻すために、バイクを立て直したらその瞬間反対側へ転倒する。

バイクのステアリングヘッドは、ライダーに感じさせないぐらいのストロークと周波数で、絶えず左右に動いていることは知っておきたい。このことはクルマにもいえることで、タイヤに対し、クルマが安定して走るに足りるストロークで、自由にしてやるのがポイントではなかろうか。

また、ゴムは摩擦が大好きであることを忘れてはいけない。そして、その摩擦は非常に強いもので、縁石に接触した大型トラックをいとも簡単に跳ね上げるほどである。

ゴムは摩擦が大好きで、そこが一番と言うことの証明として次のようなものがある。それは平ベルトと中央が高くなった樽型プーリーの関係である。

一般的には、Vベルトを使うと考えられがちだが、プーリー間の距離があり、テンショナーなどを使えない場合、また、回転方向を右や左に変える必要があるときなど、たすきがけができることから平ベルトの方が融通が利く。

この平ベルトに対するプーリーは、前記したように中央が高くなった樽型である。何故樽型なのかを考えてみると、それはベルト/ゴムが摩擦の多いところを好むからである。平ベルトと樽型プーリーの回転する様は、実にユーモラスで、外れそうになると中央に戻り、またはずれそうになると中央に戻る、という動作を繰り返す。欠点はスリップすると瞬間に外れてしまうことである。

これはタイヤと路面との関係にも似たものがある。何事もなくタイヤが転がっているときには安定しているクルマが、スリップを始めたとたんコントロールを失うのと同じだ。