研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2014年2月25日火曜日

ハエのステッカーはもう古い、今やサッカーゴールだ

男子の小便便器、狙いどころが悪いと(女子にはこの悩みは分からないだろうが)、とんでもない方向へ飛ばして、周りを汚してしまう。

そこで、便器のベストなところへ、何やら分からないハエのようなステッカーを貼り付ければ、そこへ向かって放出したがるという、人の心理を利用する方法が取られていることは、かなり前から報じられているが・・・

数年前、ドイツのアウトバーン横にあるサービスエリア内の有料トイレ(欧州はたいてい有料だが)。

ハエのステッカーではなく、何とサッカーゴールとボールの小さなものがぶら下がっていた。

このボールめがけて放出するのはかなり難しい。少し当たると動いてしまい、ボールはゴールに飛ばない。

漏れそうなぐらい貯めておけば、見事「ゴール」とすることが出来るだろうか。

さすがサッカー王国ドイツだな~

2014年2月19日水曜日

数年前スイス・ツェルマットで見た、その光景

スイスと言えば、取り分け環境にうるさいお国柄、その証拠がこれ

この街では建設機械以外の内燃機関(ディーゼルに限らない)は動いていない。その街とは、名峰マッターホルンのお膝元であるツェルマット。

観光客でもこの街に入るには観光バスは使えず、ひとつ前の町にある駅から電車に乗る以外にない。
ツェルマットの駅前。前方に見える車は全てEV。当然街の中はとても静か。唸りを上げて走るクルマがないのは、これほどなのだ、と改めて知る 
ツェルマットを走るクルマはバッテリーカー(EV)である。マイクロバスや小型のトラックも同様で、観光客の送迎や荷物の輸送には、専用のEVが走り、マイクロバスや小型トラックは改造車。

どのように改造してあるかというと、とても簡単で分かりやすい。何のことはない、リヤのデフをヒックリ返して後ろからモーター(たいていはDCブラシ式)をダイレクトに取り付けるという構造。

勿論、高価なリチウムイオンバッテリーなど使っていないし、使う必要もないぐらい、小さな町で、普通の鉛バッテリーで十分ことは足りてしまうようだ。

そのバッテリー充電は、家庭用電気であっても200Vなので、効率の高い充電器を使うことが出来、ちょくちょく充電をしている光景を見る。ホテル(基本的に大型の宿泊施設はない)では、裏の方に充電器があり、それが普通。この普通、という実績が強いのだろう。
これがEV用の充電器。ホテルの裏にひっそりと、さりげなく置いてある。これがツェルマットの当たり前

2014年2月14日金曜日

タイヤチェーン、付けるのは前、後ろ?

最近、関東地方の平野部分にも雪の降ることが多くなった。それは自然のことだからどうしようもないのだが、人間はそれを乗り越える知恵を身につけてきたはず。

その一つが、クルマを走らせるときのタイヤチェーンである。素晴らしいスタッドレスタイヤも登場しているが、舗装路面以外でそれ以上の駆動・制動性能を持つのがタイヤチェーンである。

さて問題はここから。

新車発表会の帰宅途中、降車した駅から自宅まで歩いていると、また翌日には雪が降る(2月14日の予報)ということなのだろう、とあるパン屋さんの前で、そこの配達用と思われる軽自動車にタイヤチェーンを取り付けているシーンに出くわした。

サクサク作業を行っていたら、何も気に留めなかったのだが、少々てこずっている。

元来がお節介の性分だから、その状況を数秒観察すると、どうやら、タイヤチェーンのつける位置が違っている。そのクルマはスズキのエブリイ・バン。ということは後輪駆動。なのに前輪に取り付けようとしている。4WDであるなら、前輪に取り付けても、セレクターで4WDシフトをすれば走るのだが・・・

それを見て「あの~チョットいいですか」と声を掛けながら、「このクルマ後輪駆動ですから、後輪にタイヤチェーンは付けないとダメですが」といったところ。「このクルマはFFだから、前輪にタイヤチェーンを付けるようにアドバイスされたのですが」。という話。

誰だ~そんないい加減なアドバイスをしたのは。軽自動車の多くはFFだから、前輪にタイヤチェーンを巻くというのは正解なのだが(絶対ではない、その話は後述)、トラックをベースにした軽自動車は後輪駆動。

後輪に取り付けなければいけないということを納得してもらうため(駆動輪に付けるということは理解していたので)、「ほら、ここにデフがあるでしょ。4WDなら少し話は違いますが」「いえ、このクルマは2輪駆動です」。ということで納得してくれた。

よって、エブリイ・バンなどは、後輪にタイヤチェーンを付けるのが正しい。

たまたま、正しい知識を持つ人間が通りかかったからいいようなもの、そのまま雪降る世界へ飛び出していたら、スタック間違いなし。チェーン装着だから安心、という勘違いで速度を出していたら、コントロールを失って、事故が起きていたかもしれない。

よかった、事故を未然に防げた

後述とした内容

それは、FFだからといって、走る場所によってタイヤチェーンを何処に取り付けるか、判断が重要という話。

何のことか分からない、という方に・・・FF車で、タイヤチェーンを付けて、下りのコーナーを駆け抜けると、どうなる?

アクセルを戻せばエンジンブレーキが掛かる。そのエンジンブレーキは前輪に掛かる。つまり、スリップしやすいところで前輪だけブレーキをかければ、後輪が外に飛び出す。これ道理

こうなったら、神に祈るだけ。どうコントロールしても元には戻らない。コーナリングに余裕があれば、アクセルを踏んで前輪に駆動を与え、立て直すことは可能だが、そんな余裕とドライビング技術を持ったドライバーなら、そのような状況となる前に、自然と回避しているだろう。

では、どうしたらいいのだろうか。タイヤチェーンがもう一組あれば全てのタイヤにタイヤチェーンを取り付ける。

既に取り付けているものしかないときには、対角線上に1本は前輪に、残る1本は後輪に取り付ける(くれぐれも、片側の前後に取り付けないこと)。

これでコーナリングの最中にエンジンブレーキをかけても飛び出すことはないが、ブレーキペダルを踏むとハンドルを取られる可能性はある。しかし、ABSを装備していれば、その恩恵にあずかることができるので、安定してブレーキペダルは踏める。

2014年2月7日金曜日

ブレーキ液が一人で完璧に交換できる“これぞワンマン・ブリーダー”

ブレーキのオーバーホールや、定期的に行うブレーキ液の交換では、ブレーキの全システムやパイプラインから、確実にエアを排出させなければ、ブレーキ性能を得ることが出来ない。

一般的には、メカニック二人で声を掛け合って、ブリーダープラグからエアを排出させるため、ブリーダープラグを緩めたり締めたりする。そのときにはブレーキペダルを「踏めー」「踏んだー」、「離せー」「離した」などの掛け声でやる。

これをやる必要のある理由は、ブレーキペダルを踏みつけてエア混じりのブレーキ液を排出させ、その後にペダルを放すと、マスターシリンダーから送られたブレーキ液を補充する作用がマスターシリンダーに発生。

それはブレーキライン全体にバキュームが起きる結果となり、一度排出したエア混じりのブレーキ液を吸い戻すだけではなく、ブリーザープラグのネジ部分からも、大気圧が加わり、エアがホイールシリンダーやキャリパーシリンダーに入ってしまう。これを防止するためには、ブレーキペダルを踏みつけている状態で、ブリーダープラグを閉め、エアを再度吸引しないようにする必要があるのだ。

しかし、一人だったらどうするか。

私の場合には、エンジンオイルをレベルゲージから吸引するバキュームポンプを使用する。この話は後日取り上げる。

世界には、一人でやりたい、やらなければならない方が多くおいでになるようで、海外では、素晴らしい部品を作っている。

それは、ワンマン・ブリーダープラグと呼ばれるものだ。

ブリーダープラグの排出部分にホースを取り付けて、そのホースにチェックバルブ(ワンウエイ)を設けたような、いい加減なものとは違う。

ワンマンでやることの問題点に、真正面から取り組み、それを解決している。

機構的なこととしては、ブレーキペダルを踏んで離したときに、ブリーダープラグ周りから、エアを吸い込まないことだけでいい。但し、これが少々厄介。

どこかにチェックバルブ機構を設ける必要があるからだ。

ここで、素晴らしい構造のワンマン・ブリーダープラグを紹介しよう。

一つは、40年ほど前にイギリスで購入したもの
これが40年も前にイギリスで購入した、ワンマン・ブリーダープラグ。確実にチェックバルブ構造となるため、ブレーキペダルを踏んで放した後に発生するエアの吸い戻しはない 

ブリーダープラグのシート部分を分離し、スライドできるような構造として、そこにスプリングを組み合わせた。これでブリーダープラグを緩めれば、チェックバルブ機構が成立し、排出しても、その後に吸引されることはない。

締め付けネジ部分も関係なくなるので、耐久性は高い。

もう一つは、アメリカで購入したもの。外観上は何の変哲もない状態だが、内部にはチャックバルブが組み込まれている。
 
カットモデルを作ったので、見てもらえればわかる。但し、この構造では、ブリーダープラグと、キャリパーやシリンダーのネジ部分からエアを吸い戻すことになるため、樹脂のコーティングがネジ部分にあ
るが、どの位使えるのか不明だ。

どこかのショップか工場で、イギリスで購入してきたものを複製するところはないものだろうか。見本は提供してもいいのだが。


2014年2月1日土曜日

自転車事故・違反の根源は日本独特の道路交通法にある、とのことになるのだが・・・

「自転車事故が増え、その賠償額は自動車と同じ」。だから注意して乗る必要がある、という結論に導くのは、少し的がずれているような気がしてならない。

根本的な部分を見ていないと思われるからだ。

数十年前からある観察を続けている。それは、歩行者同士が対面したとき、どちら側を歩くのだろうかという点。

また、歩道ではどちら側を歩いているだろうかという点。

日本の道路交通法では「人は右、クルマ(車両)は左」という大原則があるのだが、これは99%以上守られていない。

自分で歩くとき、気にしている人がいない、ということなのだが、私自身、気にしていないと、いつの間にか左側を歩いてしまう。つまり、人間の感性からすると、どうやら左側を歩く方がいいのか・・・

そして、この右側通行と左側通行という違いが、自転車の立場を分かりづらくしていると判断する。

一部では歩道の通行などが許される自転車。そのとき、対向して人が歩いてきたら、自転車はどちら側に避けるのか、一瞬にしてその判断が出来る人は少ない。いやいないかも知れない。

そのような時、脳裏に浮かぶのは「自転車は左側通行だから、左に避けるのが正しい」。となってしまうが、これは完全に逆。

どのような状態になるか、じっくりと考えてみると分かる。自動車と自転車、歩行者の通行区分位置を含めれば分かるはず。

自転車に乗っていると、時には歩行者と同等、時には自動車やバイクと同等と、勝手に解釈して、勝手な走り方をする。また、そのような状態を規則が作り出している。

その結果が事故を引き起こす原因。

道路交通法を変えて、人も左側通行と統一すれば、勘違いはなくなり、都合のいい解釈も出来なくし、自転車事故の撲滅に結び付けるべきだ、と特に最近思っている。

特記
30代の男性二人に「人は右、クルマは左」という道路交通法のあることを知っているか、と聞いてみたところ、「エっ、そんなの知りません」との返事。

「もう一度小学校で勉強して来い」、と吐き捨てたが、そんなことより、自然に左側を歩いてしまう人間(日本人だけ?)の感性を生かして、人も左側通行とすれば、少しは自転車事故も少なくなる方向へ行くのではないかと、最近思う。

いまさら「人も左側を歩く」、という法律に換えると、事故がおきやすい、という反対を述べる人はいないと思うのだが。というのも、人は右側通行ということが認識されていないのだから。

クルマは左、人は右、という車両と人が対面通行する道路交通法が、諸外国にもあるのか分からないが、日本でこのようなことになった理由は“日本は道が狭いので、同じ側を歩いていると自動車などのクルマが来たとき、それを事前に見つけて、素早く避けられないので危険。対向していれば、いち早くクルマを見つけることで、事故を回避できるから”、ということで、ゴチャゴチャな道路交通法が出来た、という話を60年近く前に聞いた。でもね~・・・

2014年1月13日月曜日

マツダが新ロータリーエンジンを開発

REの実用化で世界ナンバーワンのメーカーであるマツダは、RX8以降のREエンジン開発がどうなっていたか、あまり外部には漏れてこなかったが、開発陣はあきらめていなかったのである。

そのRE技術は、デミオEVの走行距離を大きく引き上げる目的で、搭載の発電機を回すことに行き着いた。デミオEVを俗に言うレンジエクステンダーにしたのである。
試作車となるデミオEVのレンジエクステンダー。試乗するとその静粛性と動力性能の高さは、高級車にも迫るものがある。後はいくらで販売できるかだ

その発電機用エンジンとして小型の1ローターREが開発された。排気量は300ccであるというから、かなり小さい。

新しくREを設計するなら、これまでやり残した技術を使って効率の高いエンジンを造り上げてほしいものであるが、話を聞くと既存の実績ある技術にこだわりがあるようなので、「それではマツダとしてブレークスルーにならないのでは」という話から、何をすべきなのか、おせっかいおじさんは、またまた一石ぶち上げた。

13B・REのときから気になっていたのは、ローターハウジングの内面処理。マツダREでは、鉄のタガを同時鋳込みし、その表面に硬質クロームめっきからポーラス処理(逆電流を流し、表面に無数の穴を作る。潤滑オイル保持が目的)をするというのだが、それは時代遅れもいいところ。

鉄のタガを同時鋳込みしたところで、熱による歪違いは処理できないことから、吹き抜け、潤滑不足など、さまざまな問題が発生する。
右奥が13BのRE。左手前が新REで、ローターの厚さは少なく、ハウジングの大きさも小さいことがわかる。ハウジングの内面は鉄のタガを同時鋳込み四、そこに硬質クロームのポーラスメッキを施すというのだが、それは時代遅れだ、ということを述べておいた 

そこで、バイクメーカーでは既に卒業してしまったシリンダーの表面処理を行うべきである、と助言。

シリンダーが穴だらけで排気ガスもそこを通過する2ストロークエンジンでは、如何に熱歪を最小限にとどめ、耐焼き付き性を向上させながら、更に高性能とするためレーシングバイクでの潤滑オイル混合は200(ガソリン):1(オイル)という状況で使われた。

潤滑オイルが少なくても、熱歪の少ないシリンダーが完成すれば、性能は向上する。そこで採用されたのが、アルミのシリンダー壁面にニッケルとシリコンカーバイトをコーティング処理するというもの。

アルミ地肌に硬質クロームメッキのポーラス仕上げは、ヤマハが45年以上前に完成させていた技術。

その硬質クローム・ポーラス仕上げよりも強固な仕上げが、ニッケルとシリコンカーバイトをコーティングするもので、混合気を薄くして(ガソリンとオイルを混ぜてしまう混合ガスの場合、潤滑オイルも少なくなる)性能アップを狙うと、場合によってはピストンとシリンダーは焼き付を起こしてしまう。

鋳鉄スリーブ同時鋳込みや、硬質クローム・ポーラス仕上げでは、このような状況になると、シリンダーにもダメージが加わり、再使用不可能であるが、ニッケルとシリコンカーバイトをコーティングしたシリンダーは、シリンダー表面にダメージが加わらないほど強固で、焼きついたピストンを無理やり引き出し(ピストンの再使用はできないが)、シリンダーに焼き付いているピストンのカスを、耐水ペーパーで研磨処理すれば、再使用も可能なほどのものなのだ。

このようにタフな表面のローターハウジングが出来れば、オイル消費量を積極的に押さえ、効率のいいREが出来上がるはず。

マツダにとってのブレークスルーを確立させるには、このようなこれまでに経験していない技術の導入も重要。ついでにローターもアルミにトライしてはどうか、ということも述べておいた。REを直接動力として使うことがないわけだから、エンジンに対する負荷は遥かに少ない。それは、十分にアルミローターを使用できる要素があるのではないのだろうか。
REは縦置きする(エキセントリックシャフトを直立にし、ローターは水平方向で回転させる)。それによりローターが回転することで発生する振動を、確実に処理できるばかりではなく、発電機とコクドベルトで繋げるので、更に回転変動にも対処でき、走行中の振動などは感じない

2013年12月29日日曜日

いい加減に使えよ!!この技術 圧力損失を8%低減する表面形状

いくら表面を平らにして磨いても、その上に流れる液体や気体は、大小の渦が出来ることで流れが阻害される。これが損失となる。

かれこれ35年以上も前の話だが、ある石油(原油)の輸入会社に対して、日本政府から「輸送タンカーを港へ止めておく時間がもったいないので、パイプライン(長さは数千キロに及ぶ)から送り出す原油の量をもっと増やせ」というような指示があったとか。

しかし、石油(原油)輸入会社は、「石油の井戸から港まで送るポンプの圧力は既に限界で、これ以上ポンプの圧力を上げたら、パイプラインが破損してしまう」「圧力損失があるので、それを何とかしてくれないと政府の要望に応えられない」というようなやり取りがあったらしい。

そこで研究開発されたのが、日本の工業技術院(確かそうだったと思う)による表面形状で、圧力損失は液体でも気体でも8%低減するというもの。

何故その形状の表面にすると圧力損失が低減するのか、読んでいたその新聞には(さすがに新聞、考察が何もない)、一切書かれていなかったので、その後数十年、私の頭の中では“ナゼナゼ問答が続いていた”。

話は変わるがエンジンのチューニングアップで加工することが多い吸気ポート。切削後に表面仕上げをしてもツルピカにしないほうが性能は出る、という話を聞いていたので、私のエンジンチューニングでも、吸気ポートは回転ヤスリ(リューター)で削り、適当に仕上げた。サンドペーパーを棒の先に巻きつけて、磨くことが面倒であるし、その必要ないという話に同調していたが、これは大正解だったことが後に分かった。

この、工業技術院が開発した表面形状というのは、液体・気体が流れる方向にギザギザを造るというもの。

確か山のピッチが1.2mmで、谷の深さは0.8mmだったと記憶する。(逆だったかな。正確には特許庁で調べれば分かると思う)
 
これは、バイクのシフトペダル取り付け部分のセレーション形状だが、同様な形状の表面とすることで、圧力損失が低減する


工業技術院が開発したということで、特許にはなっていない。つまり、日本人なら誰もが無料で、無許可で使えるものであるのだ。

肝心の圧力損失が8%低減する理由だが、言われて見れば「なるほど、その通り」で、この形状を利用した製品がほんの一部のメーカーから発売されていた。

それは、タイヤのハイドロプレーニングを防止することに応用されている。

何がどのようなことで、という疑問が出るだろうが、幅広タイヤに発生しやすいハイドロプレーニング。それを防止するためにトレッドには広い溝をつけることになるが、広い溝とすればハイドロプレーニングを防止できても、タイヤが路面に接地する面積は少なくなり、グリップ性能が低下する。

闇雲に排水用の溝を太くする以外の方法は、その溝に対して流れる水(雨水)が、常に有効な断面積を確保できているかどうかが重要となる。

ここに圧力損失との関係がある。逆台形の排水溝は常に確実な流れが約束されているわけではない。流速が高くなればなるほど大小の渦が出来、場合によっては流れが止まることすらある。これは圧力損失によって発生し、それを少しでも防止するため、前述の形状を排水溝の斜面の部分に造ったのだ。

【リブレットウォール】
溝の壁に微細加工を施し水流の抵抗を低減
従来のタイヤの溝の平らな壁面では、水流により発生した乱流渦を「面」で受けるため、抵抗が大きくなっていました。しかし、ハイドロシミュレーションを駆使して溝の壁にさらに微細な溝を刻んだ[リブレットウォール]は、乱流渦と「点」で接触、抵抗を低減しトレッド溝内のスムーズな流れを実現、耐ハイドロプレーニング性能向上を果たしました。「ブリヂストンのサイトより」

この形状を取り入れると、そこに流れる液体や気体によって、小さな渦が定常的に発生する。その渦の上を液体や気体が流れることとなるため、それ以上大きな渦は出来ず、流れの阻害が低下する。つまり、圧力損失が低下することになる。

ここで、やっと疑問が解決したのだが、そのときのタイヤメーカーから説明があったこの形状は「NASAが開発した・・・」だったのだが、実は日本の工業技術院。「それ違います」とやると開発者の面子がつぶれるので、あえて黙っていたが、出所の分からない技術を何でもNASAということはやめてもらいたいものだ。

この技術を使えば、飛行機のプロペラ、ジェットエンジンのファンブレード、船舶のスクリュー。勿論レーシングカーのエンジンチューニングにも、大きく貢献できると思うのだが。

但し、プロペラやスクリュー(プレジャーボートや競艇用では関係ないだろうが)は、ハイブリッド構造にしなければ、その溝から破損してしまうので、CFRPなどの表面にその形状を作り、それを貼り付けるようにすればいいと思う。

プロペラやスクリュー、ファンブレードでは、表面形状の変化をさせるところは全体ではなく、一番表面流速が速く仕事が高くなる部分だけでいいのだ。それ以外のところはこの形状をつけても効率は高くならない。

何故この技術を使わないのだろうか。知らなかった???

注:開発したのは日本だが、工業技術院だったかどうか確かではない。念のため