研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2012年3月19日月曜日

ガソリン小型発電機の管理をしっかりとやらないと、いざと言うとき使えない

自治体や商店、或いは個人宅でも小型の発電機を備えるようになってきた。災害時のことを考えると良いことなのだが、ガスエンジンならともかく、ガソリンエンジンではテスト始動後のガソリン管理が正しくないと、いざと言うときにエンジン始動不能に陥る。そのあたりを理解して準備しているのか心配になる。

数十年前から日本各地の区市町村役場では、簡単に持ち運べる小型(1~2kW)の発電機を常備するようになってきた。しかし、年に(或いは数年に)一度ぐらいのペースで、非常時を想定した訓練を行うとき、常備している発電機にガソリンを入れて(或いは入っているかもしれない)、いざ始動させようとしても、エンジンはかからない。

1年前に販売店の方が納入して、テストしたときにはいとも簡単にエンジンは始動したのだが(始動のやり方も教わり)、1年以上経過しての訓練でエンジンはウンともスンとも言わない(セル付ではバッテリーの管理も重要だ)。これではいざと言うときに何の役にも立たない。「やっぱり小型ではダメなんだ」なんていう勝手なことをのたまう連中まで出てくる始末。

何でエンジンが始動しないのかと言うことを考えれば、自ずと答えが出てくる。少し知識のある方なら、点火プラグを外して火花テストをするだろう。ここでは、まず確実に火は飛んでいるはず。昔のポイント式点火方式ならいざ知らず、既にポイントレス点火のCDIになっているから、使わない状態なら経年劣化は起きず、不良となることはない。

点火プラグを取り外して火花テストをするのもいいが、最近はポイントレスのCDIが装備されているので、まず点火装置が不良となることはない。プラグの不良は可能性があるが

すると考えられるのは、ガソリンが燃焼室に来ていないと言うこと。ガソリンタンクは満タンなのに、なぜなのだろうか・・・

答えは簡単、キャブが詰まってしまったのである。インジェクションやディーゼルなら数年放置しても問題ないのだが、ガソリンとキャブはダメ。キャブにあるガソリンが蒸発し、ガソリン成分のカスによってキャブの内部はゴミだらけ。もちろん小さな穴のジェットも詰まって、ガソリンは吸いだされない。

販売店の方は、当然それなりの説明はしていったはずだが、その説明を理解し、しっかりと実行できる人物がいなかった結果なのだ。そのため、当時はその発電機を製造販売したメーカーが、修理工場の人員をフル動員して、改修に当たったと言う。
小型の発電機。少々古いので2ストロークだが、燃料の管理は同じこと。なお、排ガスのことを考慮して、エキマニからマフラーまでを保温し、触媒の取り付けを行っている
では、どのように管理すればよかったのか、と言うと理想的には、一度始動確認をしたら、ガソリンタンクを完全に空にし、沈殿カップを開けストレーナーも乾燥、もちろんキャブのフロート室からガソリンを抜く(ドレンプラグがある)。

燃料タンクからガソリンを全て抜くのはかなり面倒。タンクのドレンプラグが装備しているものもあるので、それを利用したいが・・・

ガソリンコックの下側には燃料のごみをろ過する沈殿カップが付いている。これを取り外して、中に残るガソリンも排出させる

キャブのフロート室にはドレンプラグがあるので、これを緩めて(取り外す必要はない)確実に排出させる

このようにすれば、次の始動でも、ガソリンを投入して1分ほど待ってフロート室にガソリンが満たされれば始動できる。

ガソリンタンクを空にする作業が面倒であるなら、燃料コックを閉めて沈殿カップの中とキャブのフロート室だけを空にし、ガソリンタンクにはガソリンを満タン状態とする。

燃料タンクの中を空にしなくても、沈殿カップをきれいにし、キャブのフロート室からガソリンを排出させ、タンクは満タンにしておけば、かなりの期間始動に問題は出ない。数年間以上始動させないのなら、やはり燃料タンクは空にしたほうがいい。我が家では空にしている。これはバイクも同様

ガソリンを満タンにする理由は、タンクから空気(酸素)を追い出して、酸化させないようにすることが目的。

この状態で、炎天下に放置しなければ1年後でも始動はできる。もっと雑な扱いとしてでも始動は可能なのだが、それにはリスクを伴う。

リスクを承知でやるなら(あまりお勧めしない)、それは、燃料のコックを開けたままにすること。こうすることで、フロート室から蒸発するガソリンを常に補う形となり、ガソリンカスの発生を抑制できる。

この状態での管理は、実際にバイクで友人がやっており、ガレージの中にあるため、ガソリンコックは開けたままで1年間は放置していても、ごく普通にエンジン始動が出来ることを確認している。

友人は、バイクのガレージ管理で、ガソリンタンクのコックを開けたままにしている。こうすることで、1年経過してもエンジンの始動は普通にできるが、リスクが大きいのでやらないほうがいい

ただし、フロートバルブやホースにトラブルが起きると、ガソリンが漏れ火事の原因となるので、常に保管状態を監視できるのでなければやるべきではない。

こんな心配をしなくてすむのがカセットガスコンロのボンベを使った小型の発電機。カセットガスの使用期間をとやかく言う方がいるけれど、我が家では数十年前に購入したガスボンベを、いまだにガスコンロに使用している。

2012年3月1日木曜日

エンジンオイルの選定をいい加減にしたり交換しないと、とんでもないことが起きる

エンジンオイルなんて入っていれば良いんだ、と言う考え方は通用しなくなっている

「グレードの低いオイルを頻繁に交換したほうが安く上がるし、きれいなオイルになるのでエンジンにも良い」、と言う考え方もダメ。

現代のエンジンはエンジンオイルに頼って性能を出すように作られているので、数十年前に言い伝えられていた「低グレードのエンジンオイルを早めに交換する」と言う話は通用しないし、「そのようなオイルの選択をしているとエンジンは異常に磨耗する」と言う話を、40年以上中古車の販売を行ってきた友人が話してくれた。

指定されたグレード以上のオイルを使い、指定された走行距離までに交換する必要があるのが現代の高性能(パワーだけではなく優れた燃費も)エンジンなのだ。

もちろん、指定された走行距離と言っても、その走り方で数字が変わってくる。一般的な使い方と、シビアコンディションという言い方の使い方に分けられるのだ。そして、高速道路を走る機会が多い、山坂が多い場合にはシビアコンディションとなる。

「オレは高速道路を走らない」と言う方も、一般道で速度を上げて走るなら同じこと。それはシビアコンディションで、一般的な走行指定距離の半分が交換の目安となる(取扱説明書に書かれていない場合もある)。

一般的に交換指定距離の走行数字は、10・15モード、或いはJC08モード走行程度の負荷状態を基準にしていると思ったほうがいい。

また、チョイ乗りが多い場合は、シビアコンディションよりも条件が悪いと考えたい。それは、エンジンが十分に暖まらない状態で停止、また走行して停止ということを繰り返すと、エンジンオイルは十分に温まらず、オイルの中に入り込んだ水分やガゾリン分が蒸発する余裕がないため、次々と溜め込んでしまう結果、冷間時にはオイルがグリース状となり、最悪の結果を招く。低グレードのオイルを使用した場合にも同様なことが起きやすい。

そのような状態となったエンジンを見つけたので、しっかりと見てほしい
どのような管理をしたのか定かではないが、とにかくすごい状態。実験で再現するにもまず不可能だろう。オイルメーカーはこのような画像を欲しがるだろう

オイル、いやグリースとも呼べる状態になっており、ヘッドカバーの中はグジャグジャ。カムやヘッドの締め付けボルトがどこにあるのか分からないほど。

別のエンジンでは、タイミングベルトは破断。普通はベルトの山が歯こぼれして、スリップするのだが、このエンジンはベルトが切れていた。
このように切れるタイミングベルトのエンジンは、エンジンオイルの交換がいい加減であることが多い

オイル交換を必要以上にまめにやる必要はないが、どのような乗り方をしているか、指定グレード以上のオイル(純正である必要はない)を使っているかが重要なポイントだ。

2012年2月21日火曜日

バッテリーの交換をアイドリングさせたままやる、とはとんでもないこと

絶対にやってはいけない作業

最近気になる話を聞いた。それは、バッテリー交換の際に、エンジンをアイドリングさせたまま行うと言うもの。

確かに、オルタネーターには電圧制御のレギュレーターが装備しているので(それもかなり優秀なやつ)、バルブ類が切れることはないのだが、多数あるコンピューターが不良となる可能性は大きい。

特に、電気用品の取り付けをしていると、その用品が不良となる場合もある。雑電流対策がされていないのだから当然だろう。

その原因は、電圧上昇ではなく、バッテリーが外されることで、それまで吸収(収束)していた雑電流の放出が原因と考えられる。
エンジンをアイドリングさせたままのバッテリー交換は、絶対にダメ

なぜこのようなことが行われるのだろうか。それは、バッテリーを取り外すことで、各種電気用品の設定が消えるため(純正用品も含め)、面倒な初期設定が必要となるからだ。パワーウインドウの挟み込み防止の設定も忘れてはいけない。これをやらなければ、その装置も作動しないので重要なこと。

どこからこのような邪道が行われ始めたのか考えてみると、それは、ディーラーなどでバッテリー交換をするとき、ユーザーがどのような初期設定をしているか不明のため(標準でもいろいろな電気用品を装備しているため)、元に戻す手間を考えたときに、「いいや、アイドリングさせたまま一瞬のうちにバッテリーの交換をすれば何とかなる」「後で文句を言われるのもいやだし」と言う状況があって、このようなとんでもなくリスクの多い作業をしているらしい、と聞いたことがある。

バックアップのバッテリーを接続しなさい、と言う指示があるはずだか。

これを見様見真似でバッテリー交換をユーザーがやるとき、エンジンをアイドリングさせたまま行い、とんでもないトラブルを引き起こしているようだ。
バッテリーのターミナルは、マイナス側から外す。そのほうがレンチをボディに接触させてもショートしないから。取り付けるときにはマイナス側を後にする 

初期設定を再度やるのが面倒だったら、バックアップ電源を作り(販売もしているし、ディーラーや修理工場でも使っているはず)、それをシガーライターソケットから送り込んでやればいいのだ。これで安心してバッテリーを外せる。

重要なのは、バックアップで使うバッテリーのプラス・マイナスを間違えないことと、イグニッションキーをラジオが聞けるACCの位置にしておくこと。

自作する場合、使用するバッテリーは、安全(容量)を考えて乾電池ではなく、鉛バッテリーを使いたい。

推薦するバッテリーは、完全密閉式の小型のもの。例えば、秋葉原の秋月電子で輸入販売される台湾製のLONGと言う銘柄などは、長期保存にも耐える、自己放電が非常に少ないもの。6ヶ月以上でも十分に容量が残っている。これなどお勧めだ。12V8Ahあたりを購入すればいいだろう。
完全密閉式のバッテリーをバックアップ用とする。他に使用していたものだが、性能低下が見られたので、別の用途に使っている。シガーソケットに差し込むプラグはホームセンターで購入

端子は平型の差込タイプであるが、大きな電流を流さない状態での使用であるなら、これを改造する必要はない。

バッテリーの管理としては、6~10ヶ月ごとに充電する。充電器はいらない、クルマのシガーソケットから充電すればいいのだから。普通に走りながら30分も充電すれば十分のはず。
確実に電気の接続が出来たかどうかは、イグニッションキーがOFFの位置で、ラジオやカーナビに電源が入っているかどうかで判断できる。接続不良はバックアップ不良となるので、シガーライターを使っていた場合には特に注意が必要

イグニッションキーはⅠのACC位置とすること。Ⅱのエンジン始動位置では余計な電流が流れるし、その位置とする意味がない。また、イグニッションキーの位置が0(OFF)でも、シガーソケットから電流を流すとラジオなどにも電気が流れるので、バックアップ出来たと勘違いしないこと。必ずⅠのACC位置であることを確認する

このようにしっかりとバックアップ用の電源を確保しておけば、安心してバッテリーの交換が出来るし、設定のやり直しをする必要もないので、間違いを引き起こすことがなくなる

2012年2月19日日曜日

走行音を発生しないクルマのサウンド対策が進むのだが・・・その2

前回は、ウルトラがエンジンサウンドシステムを発売したこところまで説明したが、そのシステムは、販売価格と耐久性ということから、スピーカーに要求されることが重く、どうしてもコーンを持たない、ツイッター(高音専用スピーカー)のようなものとなり、音質としてはいいものではない。
ウルトラのエンジンサウンドシステム、価格10290円。静か過ぎるクルマに装着すると、存在をアピールすることができるが、スピーカーの関係で音質が良くない。ウルトラのHPに掲載されている音よりも、実際にはもっと高音部が強調されている

そこで、何とかならないか、それもお金を掛けないで、と言う基本理念から、数十分でやれる音質改造に取り組んでみた。

金額を無視するなら、秋葉原で低音も出る、防水型のスピーカーを購入すればすむのだが、それでは意味がない。

基本的にはどんな音がするのか、オーディオ用のスピーカーを取り付け視聴する。確かに、それなりの音が焼きこまれていることがわかった。それをどのように引き出すかである。

付属のスピーカーで同様に視聴してみると、高音部だけが強調されて、耳が痛くなる。せめてこの高音部だけでもカットできないだろうかと取り組んでみた。
バッテリーを繋いでサウンドを聞く。やはりオーディオ用のスピーカー(後方右)から流れる音とは程遠い。もちろんこれでも有効ではあるのだが・・・

スピーカーから出た音を、何かで共鳴させ、高音部を減衰させながら、中音部を強調させられればいいので、共鳴ボックスを載せてみると、納得できる音質に変化していることが判明。ただし、使ったのは紙であるし、少し大きく不細工。
何か共鳴する装置はないかと考え、薄い小さなダンボールの箱を利用。音が入るような穴を開け、ふたの片方を開放し、それを付属のスピーカー上に載せると、高音部が減衰し(音の大きさも少し小さくなったが)、耳障りな状態から開放された

そこで、飲料水が入るペットボトルを短く切り、口のほうを上にして載せると、意外にも高音部が減衰して、何とか使える音になっている。
共鳴部分を造ればいいのだろうと判断し、ペットボトルを短く切断してスピーカーの中へ入れてみると、これがなかなかいい具合。アルミのボトルや口の大きなペットボトルも試したが、普通サイズでOKとなった

アルミ製や口の大きなものも試したが、どちらも音質の改善が十分ではなかったので、ごく普通の300ミリリットル入りのものがいい。

排水用の穴も必要で、それを適当に開けてから、100円ショップで売っている水性ペイントを刷毛で塗り、乾燥したら接着剤(これも刷毛とともに100円ショップで)で接続。ただし、排水のことを考えて、下側になる部分には接着剤を塗布しないこと。
排水用の穴を開け、ボトルの口を切り取り、100円ショップで購入した水性塗料を塗る(手元に黒がなかったので・・・)。乾燥したら数箇所に接着剤を塗布して組み立てれば終わり。排水用の穴がどこにあれば有効かを考えて取り付けること

なお、音がどのように変化したか、デジカメでムービーを取ってPCで再生したが、デジカメのマイク特性やPCに内蔵しているスピーカーでは、高音部しか出ないため、音の変化を聞き取れないことが分かったので、ユーチューブにはアップしていない。

2012年2月12日日曜日

走行音を発生しないクルマのサウンド対策が進むのだが・・・その1

EV、PHV、HVなど、モーターでの走行状態では、エンジンとは違う静かな音しか発生しないため、その存在に気づかず事故となることが考えられることから、国土交通省は2010年5月10日に“静音性対策を講じたハイブリッド・EVの体験会”を東京小金井の尾久自動車学校で開催した。

どのようなものかと言うことで、事前に申し込みをし、参加したのだが、目の前を走る実験車からは、インバーターが発するような、かすかな金属音がする程度で、とてもじゃないが役に立つとは思えないもの。
高周波の金属音で役に立つとは思えない状態。また、停止するとサウンドも消えるので、それでは視覚障害の方もそこにクルマがあると判断できない

その音に対する評価者として、視覚障害者の方を数十名現場に来ていただいていたが、これが大きな間違いである、と言うことを国土交通省の方々は気がついていないようだった。

視覚障害の方は、聴覚が非常に優れており(健常者より遥かに優れる)、いくら目が見えないからと言って、その方々の意見を参考にするのは大きな間違い。

十分な音か、或いは周波数はどうか、を検証するなら80歳近いお年寄りから意見を聞くべきである。

こんな状態で製造したエンジンサウンドシステムは、使い物にならないと言うことになって、一向に広まらない。

そこで、国土交通省の指針に合わせたものを永井電子(ウルトラ)が製造した。ただし、その指針が音の範囲を狭めているのは確かだ。

指針の内容は、興味本位の音はダメ(F1の排気音など、音の大きさが変化するもの、ブリッピング、人の声)など、つまり変化しない音と言うことになる。この状態でOKとなる音はかなり難しいようだ。

また、最近気がついたことだが、アイドリングストップしていると、当然エンジン音がないわけで、よそ見をしながら歩いてくる人は、そのアイドリングストップしているクルマにぶつかる、と言う事故は起きてしまう。そう考えると、アイドリングストップするクルマにも、擬似的にエンジンサウンドを発生するようなシステムが必要ではないかと思う。

次回は、永井電子製のウルトラ・エンジンサウンドシステムを検証し、もっと音が良くなる手法はないか、実験してみるつもりだ。

2012年2月3日金曜日

トウモロコシは食べるだけではなかったんだ

トウモロコシというと、日本では家畜の飼料かおやつに食べるぐらいにしか考えていないが、実は非常に奥の深い繊維質を持った種で、これをベースにいろいろ出来あがっている。それも日本では思いも寄らない、今でも認識していないような使われ方を、数年前からアメリカやヨーロッパの国では展開している。

ひとつはアメリカでやられていること。目的は日本と同じだが、そこに使われるものがトウモロコシを加工したものか、発泡スチロールを使ったものかの違いだ。当然日本は発泡スチロール。アメリカはトウモロコシ。では何に使われるのかというと、荷物を発送するときの、隙間を埋めるパッキング材。

だいぶ前のことだが、アメリカから送られてきた品物の中に詰められていたパッキングは、なんだかうす茶色で、発泡スチロールのように弾力性は強くない。もちろんビニール(違うかも)製の袋に詰められていることは同じ。そして、その袋には何やらプリントされている。そこには「食べるな危険とか、子供の手の届かないところに置くこと」などと言うことは書かれていなかったように思う。さらに見ると「・・・コーン」とか何とか読めるが、何を言っているのか、当時の英語力では十分理解出来なかったが、コーンはトウモロコシのことであるし「どくろマーク」も付いていない。

指先でつまんでみると、プチッとつぶれて何かを発泡させたものであることがわかる。臭いをかいでみるが、よくわからない。ポップコーンではない。しかし、「・・・コーン」と書いてあるのだから、トウモロコシがベースなのであろう????

数時間後には、一粒口の中に入れていた。すると、マシュマロのごとく、クニャクニャになり、しばらくすると溶けてしまった。これどういうこと。

アッそうか、発泡スチロールでは使用後の処分で環境問題が出るけれど、トウモロコシならその辺に捨てても土の養分になるから、処理は問題ない。そしてもうひとつ気が付いた。それは、幼児の事故である。つまり、発泡スチロール製のパッキング材では、幼児がいたずらして、口に入れた場合、気管に詰まらせて窒息死することがあるのだが、トウモロコシベースのパッキング材は、前記したように、口の中で溶けるし毒性はない。さすが環境やPL法にうるさいアメリカであると思った。

さらにもうひとつ、テレビで見た光景。フランスのあるチョコレートを作る会社でのこと。丸いチョコレートとするため、ベルトコンベア上には、凹みのある型が流れている。日本であったらおそらくこの型はPP(ポリプロピレン)だろう。でもそのチョコレートメーカーは、トウモロコシをベースにして作られた型を使っていた。チョコレートメーカーが型を作っているとは思えないので、規則でそうなっているのかどうか不明であるが、それにしても、日本の環境や安全に対する考え方には、大いに疑問が残る。

2012年1月27日金曜日

ピストンのフリクションをゼロにしたら どうなる?

ピストンのフリクションに対する研究はかなり進んでいると思うが・・・

 エンジンの効率を上げるため、各部のフリクション低減に対して躍起になっている状況は見て取れる。でも、フリクションをゼロにする研究はなされていないようだ。

ピストンのフリクションを低減するため、ピストンのスカート部分にはWPC処理や二硫化モリブデンコーティング(パターンコーティングもある)などやっているが、直接シリンダー壁とピストンスカートが接することを狙っての処理ではなく、オイルが介在するときの引き摺りを少しでも減らすように願うだけ。

言ってみれば、オイルを弾くような表面処理がなされることで、引き摺りを少なくしようと言うのである。

その昔は、条痕仕上げと言う表面加工で、僅かなギザギザ仕上げの部分にオイルを保持させると言うもの。この仕上げはディーゼルエンジンで始まり、数万時間使用された建設機械エンジンのピストンを見たことがあるが、シリンダーとピストンが接したような跡はどこにもなかった。

このようにピストンとシリンダーとのフリクションを低減してきたのだが、低減と言う研究だけで、フリクションをゼロにする、と言う研究はなされていない感じだ。コンピューターでシミュレーションしたくても、ベースとなるデータはない。

試乗会などで、エンジン開発担当の技術者と話しをするときに、ピストンのフリクションをゼロとした実験などやったことがありますか? と聞いてみるが「そんなこと考えてみたこともありません」の返事ばかり。そこで次のようなことを話す。

ピストンとシリンダー間のフリクションをゼロにして研究する方法は簡単。

実験に使用するシリンダーをボーリングする(STDから0.25mmオーバーでいい)。そして使用するピストンはSTD。ピストンリングは0.25mmオーバーサイズ。

これで普通に組み付ける。エンジンを始動してもピストンのサイドノック音は出ない。クリアランスが大きく、ピストンの振れている範囲をピストンリングによって抑えられてしまうからだ。

実験エンジンなので耐久性はなくてもかまわない。トップリングが燃焼熱にさらされて都合が悪いと言うなら、トップランド(トップリング溝からピストン頂面までの部分)だけ0.25mmオーバーサイズの、頭だけ大きなピストンを造ればいい。

短時間の実験が終了して、耐久テストに持ち込みたいのなら、ピストンスカート部分にピストンリングを追加する、サードリング方式を取り込めば解決する。ただしリングとピストンの形状でフリクションは増加してしまうが。

では、こんな馬鹿なことが現実にあるのか、と言うと、実は経験しているのである。

それは今から45年ほど昔の話。大学時代、当時のアルバイトと言うと、もっぱらバイクの修理や再生を頼まれてやることでの金稼ぎ。

エンジンからのオイル漏れ修理で持ち込まれたホンダ・ドリームC72(写真はホンダコレクションホールから)。このエンジンにはサイズ違いのピストンが組み込まれていた。それがとんでもない性能となって現れた。ものすごくダッシュするのだ。オーナーは、しばらく乗っていたがエンジンは非常に快調だった、とのこと。ピストンが小さくても、意外に耐久性がありそうだ。

あるとき、「修理屋に出したバイクだがオイル漏れがひどく直してほしい」と言う依頼があった。持ち込まれたホンダC72を見ると、シリンダーガスケットの不良なのか、オイルがいたるところから噴出していた。

エンジンを降ろしシリンダーヘッドを取ると、ピストンとシリンダーのクリアランスが異常に大きい。

シリンダーを外して確認すると、ボーリングしてあるようで、ピストンリングは0.25という刻印がある。しかし、新品に交換してあるとは言うものの、ピストンはSTDである。

これでは、サイドノック音が出てしまうので、ピストンはオーバーサイズに交換しますか、と言うことをオーナーに伝えると「いや、音は出ていなかったので、そのままでいい」と言うので、部品交換はせずに、ガスケット交換と液体パッキンの使用で修理。これでオイル漏れは完璧に治った。

さて試乗してみる。確かにピストンのサイドノック音はせず、普通のエンジンになっている。しかし、暖機するための空吹かしをやると、やけにレスポンスがいい。そして少しエンジンのメカ音も大きくなる。

ギヤを入れゆっくりと走り始め、バランスの取れる速度(4~5km/hぐらいだろう)を保ってから、アクセルをいきなり全開に。

すると、びっくり仰天の事態が発生した。何と、ドン臭いビジネスモデルのC72は、フロントを大きく持ち上げて数メートルのダッシュ。

そして、フロントが着地したときの衝撃のすごさ。サスペンションがボトムリンクでストロークが小さなバイクでは仕方がないことであるが、まさかの事態を予想できず、ビックリだけが残った。

当時のエンジンではピストンとシリンダーは接触していただろうから、ピストンリングの張力と相殺するのは難しいとしても、いかにピストンがフリクションとしてあるかの証明にはなるし、また、簡単にピストンのフリクションをゼロとした実験ができると言う話。

ここにもブレークスルーはありそうな感じである。

ピストンを取っちゃたらどうなるか、そりゃエンジンとして成り立たなくなる。そこから最低限のピストンの役割について考えると、今までの考え方が正しいのか。単純に、ピストンとシリンダーのクリアランスにこだわっていただけではないのだろうか・・・