研究開発に見た遠回りの結論にあきれる -水素エンジンと点火装置-


2010年9月6日月曜日

点火プラグの締め付け方

点火プラグの締め付け要領

点火プラグの交換では、プラグの締め付け要領は重要だが、難しい話ではない。でも緩いよりは、多少締め付け過ぎの方がまだまし。

プラグの締め付け加減だが、これまでの説明で多かったのは、締め付けトルク1.5~2.1kg-mが基準で、ガスケットが新品の場合は、このトルクを指先だけで締めることが出来なくなってから(つまりガスケットがヘッドに当たってから)、90度に読みかえることが出来るとしている。

また、再使用では45度の締め付け角度を指定していたが、これらの2項目は古い締め付け要領で、当時のガスケット構造や、プラグの構造から決めたものだから、これを適用してはいけない。新品と交換したときには締め付け不足になるし、再使用では締め付けすぎの状態だ。

締め付け足らずは、トラブルの元となる。例えば、走っている最中に、プラグがヘッドから弾き飛ばされる、と言うことが昔は発生した。もちろんプラグ穴ネジ部分の製造問題もあったが、それでも、強めに締め付けられていれば、燃焼圧からの金属疲労も受けず、ネジ山ごと吹き飛ぶ、なんていう事件は起きなかったはずだ。

実際の交換作業でトルクレンチを重要視する必要もなく、角度法を取れば良いんだが、それにこだわるより、締めていくときの力の加減を覚えた方がミスをしない。またそれを感じれば良いだけ。

どのように感じれば良いのかと言うと、とりあえずプラグをヘッドに仮締めする。このときプラグを専用のソケットに差し込んでから、ヘッドのプラグ穴にゆっくりと入れるが、もしプラグを落下させたら、再度引き上げてプラグのギャップを確認すること。

仮締めの方法は、レンチのエクステンションだけをつまんで、指先の力を使って締めること。指先だけで締められなくなったら、ラチェットレンチなどを使って本締めする。

レンチを使って締め上げていくと、しばらくは一定の力だけで、レンチが回転していくはず。ところが、ある角度(これが大体120度)まで進むと、それ以上はかなりの力を必要とするので、ここで締め付け完了。

レンチを使い出してから、どのくらいの角度を締めたか測ってみると、おおよそ120~130度。120度と言うのがプラグメーカーの推奨角度だから、この感覚を分かって締めれば、自然にそれに合ったものとなるので、これを覚えていると便利だ。

では、改めてトルクレンチを使って指定のトルクである2.5kg-mで締めてみると、角度法と比較して、かなり近いところまで締めていることが分かった。なおメーカーの指定では2.5~3.0kg-mとしているが、3.0kg-mは、感覚的に締めたくない強いトルクに感じる。

ガスケットを再使用する場合のトルクも同様で、これも角度法とすると30度の指定があるけれど、実際にはそこまで締めるのにはかなりの力を必要とする。手首のスナップだけで締める、と考えれば問題ない。

また、プラグメーカーのサイトには、ネジ部分に潤滑剤などを塗布しないように、と明記してある。これは締め過ぎの傾向があるからだと言う。しかし、その点は力で加減が出来るため、私は焼きつき防止を考えて、耐熱グリース(ディスクブレーキなどの金属部分に使える)を少量使用する。エンジンオイルや普通のグリースは使用しない。耐熱性が高くないと、かえってネジが焼付いてしまうからだ。

ここに至ったのには訳がある。その訳とは、以前手に入れた10万キロ走行の中古車に、10万キロ対応プラグが使われていたため、一度も脱着していなかったことから、ネジが焼付きを起こしており、プラグ外しで苦労したからだ。なお、耐熱グリースを塗布する点については、自己の責任でやるのは当然だろう。



1.トルクレンチは締め付け領域でサイズを選ぶ必要がある。ソケットへの差込サイズが8分の3(インチ)を選べば問題ない。でも、安いもので5000円、ブランド品なら数万円する。安いものは、その精度を確認してからでないと、使うのが怖い。



2.使用中の点火プラグガスケットは、上側のように厚さが薄くなっている(つまり断面が潰されている)。対して、新品はふくらみが強い。プラグを締め付けていくことで、この断面が潰されていくわけだから、潰れの限界まで締めれば良いのだ。


3.とりあえず指先だけで締めるが、重くなって指先だけでは回らなくなったからといって、それがヘッドにガスケットが当たったからだとはいえない。レンチを使って、軽く回るのなら、それが終わってから、新品なら120度締めると考える。


4.使用するラチェットレンチは短いものの方が安全。短ければ締め付けトルクは必要以上に入れられないから、締め過ぎを心配する必要もない。この長さだと、力一杯締めても120度の角度だった。


5.トルクレンチで締め付け加減を確認すると、120度という角度は、正に2.5kg-mのトルクだった。3.0kg-mはかなりの締め加減であり、強すぎを感じる。やはり、いちいちトルクレンチを使うより、手での感覚を覚えたほうが安全ともいえそうだ。


6.ガスケットを再使用するときの、締め付けトルクは新品のときと同じ。ただし、締め付け角度は30度。短いラチェットレンチでは、これもかなりの力を必要とする。


7.このように長いラチェットレンチを使うと、同じ力でも締め付けトルクは大きくなるので、心配となるなら、レンチを短く持って(ラチェットの根元あたり)力を入れること。写真のような位置を握って締めると、締めすぎは必至。


8.点火プラグを確実に締め付けていないと、このプラグキャップが示すように(本来は青いキャップだが先端が黒くなっている)、燃焼ガスがプラグネジとヘッドネジの間から吹き出し、エンジン不調の原因を作り出す。最悪、ヘッドのネジを破損させて、プラグが飛び出す可能性も有るので、自分での交換では(特に新しいものとの交換)締め付け角度とその要領を覚えるべきだ。


9.焼付き防止を考えて、ディスクブレーキ用の耐熱グリースを塗布するが、プラグメーカーでは、締めすぎの懸念が有るので、使わないようにとしている。でも、私は、経験上から使っているが、もしこれを読まれた方が使うとしたら、それは自己責任でお願いする。